中小企業のAI導入は何から始める? ツールを選ぶ前に決める3つのこと
「AIを入れたほうがいいのは分かってる。でも、何から?」
ツールの比較記事を読んで、無料版も少し触ってみた。
それでも、自分の会社で何から始めるかが決まらないまま、時間だけ過ぎている。
この状態、結構多いと思います。
私は現役の事務員でもあり、会社を経営する立場でもあります。
事務の側から見ても、社長の側から見ても、止まっている理由はだいたい同じところにあるように見えるんです。
中小企業のAI導入で、ツールより先に決める3つのこと
ツールを選ぶ前に、次の3つの条件を決めます。
- 何のために入れるか
- どの仕事を任せるか
- どの情報を入れていいか
この3つが決まると、ツール選びは「この条件に合うかどうか」を確かめるだけになります。
比較表を見て迷うのは、選ぶ基準がまだないからなんですよね。
| 決めること | 書き方の例 | 決めると分かること |
|---|---|---|
| 何のために入れるか | 「月末の請求書づくりを、担当者が休んでも回るようにする」 | AI導入の優先対象が分かる |
| どの仕事を任せるか | 「請求書の下書きまでAI。金額の確認と送信は人」 | AIと人の役割分担 |
| どの情報を入れていいか | 「マイナンバー・口座番号・ログイン情報・健康のことは入れない」 | 使っていいAIと、使い方 |
一つずつ書いていきますね。
1. 何のために入れるか
ここでよくあるのが、「社員がAIを使えるようにする」を目的にしてしまうことです。
使い方を覚えることと、何に使うかを決めることは、別なんですよね。
目的は、業務の言葉で書くのがおすすめです。
| 目的になりにくい書き方 | 目的として決まる書き方 |
|---|---|
| 業務を効率化する | 月末の請求書づくりを、担当者が休んでも回るようにする |
| AIを活用できる会社にする | 毎週の議事録を、会議の当日中に共有できるようにする |
| 社員のAIリテラシーを上げる | 問い合わせメールの返信の下書きを、誰が書いても同じ水準にする |
右の列のように書くと、どの業務から手をつけるかが自然に決まります。
事務が1人か2人の会社なら、「その人が休んだら止まる業務」を目的に置くのが分かりやすいと思います。
弊社の場合、最初に手をつけたのは「何にどれだけ時間を使っているかを、見える状態にする」ことでした。
作業の記録を自動で取るようにしたら、それだけで、どこを渡せるかが見えてきました。
(時間の内訳が見えていないうちは、何を頼めばいいか見当もつきませんでした)
その結果、以前は日報に20分、タスクの整理に15分と、朝の1時間近くかかっていたのが、今は予定の確認まで入れて15分ほどで終わっています。
この流れは朝の15分で事務が終わるようにした話に詳しく書いたので、よかったら読んでみてください。
2. どの仕事を任せるか
目的が決まったら、その業務の中で、AIに任せる部分を決めます。
ここで、事務の人の声を一つ紹介させてください。
弊社で開いたAIの体験会で、事務職の方からこんな感想をもらいました。
自分のやっていることの中で、何がお願いできるかな?という状態です
御社の事務の人も、多分同じだと思います。
AIを嫌がっているわけではなくて、自分の仕事のどれを渡せばいいのかが分からないだけなんですよね。
一つの目安になるのが、「この手順を新人さんに説明できるか」です。
説明できるものは、AIにも渡せる可能性が高いです。
その場の事情で答えが変わるもの(値引きするか、断るか、など)は、人が決めるほうが安心です。
この分け方は弊社でAIに任せていること・任せていないことの一覧で、実際の業務を全部並べています。
最初の1つは、間違えても取り返しがつくものから
最初に任せる仕事は、次の3つに当てはまるものから選ぶのがおすすめです。
- 毎月や毎週、同じ形で繰り返している
- 外に出る前に、人が必ず目を通す
- 間違えても、直せば済む
例えば、毎月の請求メールなら、「下書きまでAI、送信は人」にできます。
弊社でも、宛先・文面・締め日の判断を書き出したら、下書きまでは任せられるようになりました。
逆に、最初から給与や税金の計算を丸ごと渡すのは、おすすめしません。
間違えたときに、外に出てから気づくことになるからです。
もう一つ、最初は少ない量で試します。
(弊社でも、いきなり大量に渡して、数分で終わるはずの作業に4時間かかったことがあります笑)
3. どの情報を入れていいか
任せる仕事が決まると、AIに入れる情報も決まってきます。
ここが決まっていないと、社員は「入れていいのかな」と迷いながら使うことになります。
AIが怖いというより、何を入れたらダメなのかが決まっていないから不安なんですよね。
弊社では、マイナンバー、口座番号やカード番号、ログイン情報、健康や病気のことは、AIに入れないと決めています。
理由は、漏れたときに取り返しがつかないからです。
(住所や氏名も困りますが、後から対処はできるので、この4つとは分けて考えています)
最初は、もっと細かく線を引いていました。
でも、線を増やすほど判断に時間がかかって、結局使わなくなったんですよね。
なので今は、「これだけは入れない」を先に決めて、あとは迷ったときに聞く形にしています。
線引きの決め方はAIに会社の情報を入れていいかの線引きに、社員に渡すルールの作り方は社員が生成AIを使い始めたときに決めることに書いています。
3つが決まったら、ツールを選ぶ
ここまで決まると、ツール選びで確かめることは多くありません。
| 確かめること | 見るところ |
|---|---|
| 任せたい仕事ができるか | 無料版や試用期間で、実際の業務を1回通してみる |
| 入れた情報が学習に使われないか | 法人向けのプランか、学習に使わない設定があるか |
| 誰がアカウントを管理するか | 個人のアカウントではなく、会社として契約できるか |
最後の「誰が管理するか」は、IT担当のいない会社ほど決めておいたほうがいいと思います。
社員が個人のアカウントで使っていると、辞めたときに、何を入れていたか分からなくなるので。
明日できること
A4の紙を1枚用意して、3行だけ書いてみてください。
- 何のために入れるか(業務の言葉で1行)
- 最初に任せる仕事を1つ(どこまでAIで、どこから人か)
- AIに入れない情報
最初から完璧な一覧は要りません。
まずは小さくはじめてみてください。
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