合同会社アークス(EARQS) AI事務部のコラム|バックオフィスから始めるAI導入

社員が生成AIを勝手に使っている。禁止する前に決める3つのこと

2026-08-22

「うちの社員、勝手に生成AI使ってるみたいなんですよ」

この相談、増えています。そして続けてこう聞かれます。

「禁止したほうがいいですか」

私の答えは、たいてい「禁止しても使用は止まらないので、範囲を決めるほうが早いです」になります。

ここで言っているのは、ChatGPTなどの生成AI全般のことです。使われているサービスは会社によって違いますが、決めることは同じです。

禁止が機能しにくい理由

ChatGPTなどの生成AIは、会社のパソコンで止めても、スマホで開けます。

しかも、使っている本人に悪気がないことがほとんどです。文章を整えたい、言い回しを調べたい、その程度の用途で開いています。

禁止すると、使用がなくなるのではなく、見えなくなります。

見えなくなると、何が入力されたのかも分からなくなります。これが一番困る状態です。

だから、止めるより先に決めることがあります。

1. 契約を確認する

意外と飛ばされるのがここです。

自社のデータなら、社内で決めれば済みます。

でも受託業務のデータだと、契約書に「再委託の禁止」「外部サービス利用は事前承諾」といった条項が入っていることがあります。

この場合、社内ルールより契約が優先します。

逆に言えば、契約を確認して問題がなければ、堂々と使えます。ここを曖昧にしたまま「なんとなく怖いから禁止」にするのが、一番もったいないです。

2. 学習に使われない設定にする

ChatGPTなどの生成AIには、無料のアカウントと法人向けのアカウントがあって、扱いが違います。

一般向けのサービスは、入力内容が学習に使われる設定になっていることがあります。法人向けやAPI経由の利用は、既定で学習に使わない設計になっているものが多いです。

ここは契約する時点で確認するのが確実です。規約は変わるので、「前に調べたから大丈夫」は通用しません。

会社として使うなら、法人アカウントを1つ用意して、そこに寄せるのが管理しやすいです。

3. 入れないものを決める

ここが本題です。

私が線を引いているのは、この2つです。

入れないもの

入れてもいいと考えているもの

クラウドに資料を保存しているのと、考え方としては同じです。GoogleドライブやOneDriveに置いている資料はたくさんあるはずで、ChatGPTなどの生成AIだけを特別扱いする理由はあまりありません。

ただし、住所や電話番号まで含めて丸ごと渡すのは別の話です。そこは分けます。

機密情報を扱うときにやっていること

どうしても機密を含む資料を扱う必要があるときは、手元で動くAIで先に伏せてから、ChatGPTなどの外部サービスに渡しています。

手元で動くAIというのは、自分のパソコンの中だけで動くAIのことです。ネットにつながずに処理できるので、入れた情報が外に出ません。無料で試せるものもあります。

(とはいえパソコン自体は常時ネットにつながっているので、ファイルの管理はちゃんとする、という前提はつきます)

やっているのは、社名を「A社」に、担当者名を「担当者」に置き換えてから相談する、という手順です。

少し面倒です。でも、この一手間があると、社外に出す情報を自分で把握できます。

伏せるときの注意が2つあります。

一つは、1か所でも消し漏れると意味がなくなること。置換は全部まとめてやって、最後に確認します。

もう一つは、名前を伏せても、金額と日付と業種の組み合わせで分かってしまうことがある、という点です。数字を丸める判断も必要になります。

決めたら、書いて配る

3つが決まったら、A4で1枚にまとめて配ってください。長い規程は読まれません。

書く内容はこれくらいで足ります。

「迷ったときに聞く相手」を書いておくのが、実は一番効きます。 判断に迷った人が黙って使うのを防げます。

今日からできること

まず、自社が受託しているデータに関わる契約書を1つ開いて、外部サービスの利用について書かれているかを確認してみてください。

書かれていれば、それが基準になります。

書かれていなければ、社内で決められるということです。

どちらにしても、次にやることがはっきりします。ルールを作るのは、そのあとで間に合います。

横浜はるか

この記事を書いた人

横浜はるか合同会社アークス 代表

事務歴20年以上。バックオフィス業務の改善と事務・経理代行の会社を経営しながら、企業向けAI研修や個人向けAI講座の講師もしています。自社の事務も、AIを使いながら日々整えています。

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